親エビの選び方
どのような個体を選べばよいのかレッドピーをショップで選ぶときには、まずは元気の良い個体を選ぶことが大切である。元気の良いレッドピーは、ハサミを常に動かしていたり、餌を与えると集まってきて奪い合うような行動が見られる。ジッとしたまま動かない個体や、同じ水槽内に死骸があるような場合、コケだらけの水槽などは避けた方が無難である。レッドピーは、一度弱ってしまうと良好な環境下に移したとしても回復が望めるとは限らないのだ。その他、稚エビがたくさんいる水槽は、良好な環境が保たれていると考えて良い。これらの点に注意して購入してほしい。またレッドピーは、小さい頃は白バンドがはっきりと入っていても、大きくなると消えてしまうことが多い。どうしても白バンドの入る個体を入手したいのであれば、白バンドが入っている個体の中から大きめ(2cm以上)のものを選ぶと良い。また、白バンドが入っている親から生まれた個体であれば、その個体自体に白バンドがなくても、その子供には白バンド個体が生まれてくる可能性がある。
レッドピーの遺伝
レッドピーは、ピーシュリンプの突然変異によって生まれたものである。そのため、ピーとレッドピーとを一緒に飼育すると、何の問題もなく繁殖するのである。ピーとレッドピーの交配においては、「メンデルの法則」どおりに赤いタイプと黒いタイプが生まれてくる。
遺伝の用語を理解しようまずは、遺伝の用語を紹介する。細胞中の遺伝子の組み合わせ「AA」、「Aa」、「aa」などを遺伝子型といい、これが元となって現れる形質(体色)を表現型という。遺伝子には、優性遺伝子と劣性遺伝子とがあり、一般には、優性遺伝子を大文字のアルファベット、劣性の遺伝子を小文字のアルファベットで表す。ピーの遺伝子型には、AA、Aa、レッドピーの遺伝子型にはaaがあり、AA、aaのうち同じ遺伝子の組み合わせの遺伝子型なホモ接合体という。いっぽうAaのように、異なる遺伝子の組み合わせの遺伝子型をヘテロ接合体という。Aaのように優性形質(体が黒)を決定する優性遺伝子Aと、劣性形質(体が赤)を決定する劣性遺伝子aの組み合わせの場合、優性形質が表現型となる。つまり、Aaの遺伝子型の場合、表現型は「A」となり、体色が黒となる。また、AAの遺伝子型の場合も、表現型が「A」であるので体色が黒となる。つまり、ピーである。そしてaaの遺伝子型の場合は表現型が「a」となり、体色は赤となる。つまり、レッドピーだ。以下、AAの遺伝子型のピーをホモ、Aaの遺伝子型のピーをヘテロと呼ぶれる。さて、ピーやレッドピーをかけ合せるとどうなるか、レッドピー×レッドピーの時はすべてレッドピーが生まれ、レッドピー×ヘテロの時はピーとレッドピーが1:1の比率で生まれ、ヘテロ×ヘテロの時にはピーとレッドピーが3:1の比率で生まれてくるということになる。ただし、それらはあくまで理論上のもので、実際にはその通りの比率ではないことが多い。その主な原因は、卵の中から稚エビとなるのは、そのうちの50%程度だからである。
増殖スピードを加速させよう
効率よく繁殖させるには?特殊な餌や特別な器具、薬品などは使用せず、タブレットフードなどを与えただけで、レッドピーは、1回の抱卵で30~60個の卵を抱え、10~20匹程度の稚エビが生まれるが、ちょっとしたエ夫で増殖スピードを加速できる。そのエ夫について解説してみよう。
抱卵率と飼育密度の関係レッドピーを効率的に増やすために最も重要なポイントが、レッドピーの飼育密度である。具体的に言うと、飼育密度が高いほど増えにくくなるのだ。その原因は、飼育密度が高いことによるストレスや、排泄物や餌の食べ残しなどが増加し水が汚れやすくなることなどである。60cm水槽にレッドピーを約100匹飼育した場合と10匹飼育した時とを比べると、メスの抱卵率に大きな差が出ることもある。10匹飼育した水槽では、同時に5匹程度が抱卵することが多かった。しかし100匹飼育した水槽では、同時に抱卵するのはたいてい10~20匹程度しかいなかったり ただし、飼育密度が高いと抱卵する割合は減るものの、そこから生まれてくれ稚エビの数や、その後の生存率にはそれほど差はない。
飼育密度をコントロールしよう「短期間で数を増やすための工夫」とは、飼育匹数を抱卵しやすい密度にとどめておくことである。たとえば60cmレギュラー水槽なら、親エビの数は10匹程度が理想と考えている。抱卵個体を増やすには、100匹を1本の水槽に収容するよりも、60cmレギュラー水槽を10本用意して、それぞれに10匹ずつ分けるのがベストだが、実際はたくさんの水槽を用意するのは難しい。そこで、水槽が少なくても効率よく繁殖させるコツを紹介する。まずは、60cmレギュラー程度の抱卵用水槽を用意し、レッドピーを10匹程度入れる。そしてメスが抱卵したら、そのメスを稚エビを育てるための水槽に移し、抱卵用水槽には他の水槽から新たに抱卵できそうなサイズのメスを補充する。こうすることにより、飼育密度が高くならず、抱卵率が下がらないのだ。オス:メス=3:7程度の比率が、抱卵させるのに最も効率が良いように感じた。雌雄を判別できるのであれば、この比率で水槽に入れることをおすすめする。なお、稚エビ育成用の水槽は、密度が高くてもそれほど問題はない。
Q&A
Q.よく抱卵する個体がいるのですが、いつの問にか、発色=白いラインが崩れてしまいました。これは直るでしょうか?
A・‥人も妊娠、出産することにより、体型が変わりますが、レッドピーシュリンプも抱卵により体型が崩れる、もしくは成長することにより抱卵しやすい体型になる場合があると思います。これによる発色=白のラインの崩れなどは、孵化後でも直ることはまずありません。ただ、体型が崩れる前、素晴らしいグレードの個体であったのならば、遺伝子上、それは引き継がれていきますので、抱卵、孵化後の子には影響はありませんので、その後の選別などを怠らず、グレードを保つようにしてください。繁殖前、抱卵後は白い部分は崩れることが多く、また赤色の部分は椅麗に発色することが観察されています。その後の個体に注目をし、グレードが気になるようならば、孵化後、成長過程でしっかりと選別を行なっていきましょう。
Q.繁殖に成功し、沢山レッドピーシュリンプはいますが、発色の出具合が様々で、綺麗な子もいれば、赤の薄い樹体、白が切れている個体などいろいろです。どうしたら赤白のくっきり出ている個体ばかりになるでしょうか?
A・‥選別が行なわれていない場合は、産卵、孵化後のエビのグレードも様々になってきます。グレードの固定化を行ないたいのであれば、選別を行なうようにしてください。選別を行なっていくうちに、世代が変わっていくことにより、ある程度、各グレードの固定化ができると思いますし、選別はすればするほど、グレードアップにつながると思います。選別をしていく上で、自分の理想とする個体に巡り会うかもしれません。選別やグレードアップは奥深い楽しみがありますので、繁殖がうまくいった場合、ひとつの楽しみとしてチャレンジされてみてはいかがでしょうか?
Q.抱卵しても、なぜか孵化までいたらずに卵を離してしまいます。どうしてでしょうか?また孵化させるためにはどうしたらよいでしょうか?
A・‥初産や若い個体の産卵の場合は、醇化までにいたらずに、途中で卵を離してしまう場合があるようです。また、卵を離す行為を行なう個体の中には、卵を離すことが癖になる個体もいるようです。孵化、順調に成体まで成長しさえすれば、大半は水槽の状態が良いのなら孵化までいきます。もし孵化しない場合は、次のことが考えられると思います。まず水質の状態が良くない、抱卵する個体が環境に慣れていない、止水城(水槽内の水流が行き届いていない場所)が水槽内にできていて、そこに抱卵個体が留まることが多い場合、そして水槽内全体の水質が悪くなくても、抱卵個体が止水域にいる時間が多いことで、水質の状態がよくない状態と同じ影響を受けやすく、卵を離す原因になる可能性があります。また何かのストレスが抱卵個体にかかっている場合の(他の個体からのいじめや点灯時間が定まっていないなど)も卵を離す可能性があるようです。これらのことを再度観察、確認してみてください。止水域は抱卵個体に止まらず、他の個体にも悪影響を与えますし、崩壊の原因にもなりかねません。止水域ができないような環境作り(エアレーションの位置や、吸水・排水の濾過関係の位置、流木やレイアウトによる止水域ができていないかの観察を行なう)に努めることも、大切なことになってきます。
Q.稚エビが確認でき、繁殖もうまくいっているようなのですが、選別はいつ頃から行なうべきでしょうか?
A・‥餌の供給率や環境によっても成長の度合いは変わってきますので、生後何カ月などという限定はできませんが、大きさが1cm以上に成長している状態であれば、色彩の出方、発色などが判別できると思います。選別は選別者により、今後のグレードアップに差が出るといっても過言ではありません。厳しい目での選別を行なうことにより、グレードアップが早くなるともいえます。グレードアップを高く目指すのであれば、厳しい目での選択、細かな選別基準を自分なりに決め、それに基づいて選別を行なうことによって、あいまいな選別にならずに済みますので、まず細かな選別基準を決めていくことも大切だと思います。選別後も、選別先の水槽で繁殖が行なわれた場合、そこでも選別を怠らないことです。グレードアップを考えるのであれば、常に水槽での選別は基本になってきますのでしっかり行なってください。
Q.繁殖可能な大きさは何センチでしょうか?
A・‥1cm以上は卵を抱えるために必要な大きさだと思いますが、稀に小さな個体でも(月齢は不明)卵を抱えているものを発見する場合もあります。生後3~4カ月程度経ち、水槽内の環境も良くて大きさ1cm以上あれば、繁殖は可能だと思われます。
Q.碓エビが生まれた後の水換えは、行なってもいいのでしょうか?
A・‥孵化直後であるようならば、少し期間を置き様子を見た方が無難でしょう。また、不安がある場合であれば、水換えの量を検討してください。いつもより少な目の水換えを行なうと同時に、慎重かつゆっくりとした作業であれば大丈夫だと思います。
マニアによるレベル分け
ショップにレッドピーを見に行くと、価格の安いものと高いものがいることに気づくだろう。初心者の我々にはどれも同じレッドピーにしか見えないが、マニアの問では、体の模様によって『グレード』と呼ばれるレベル分けがある。それが価格の差となっているのだ。ごくおおざっぱに言うと、白の部分が多いもの、赤や白の色がハッキリしたものが『グレードが高い』とされる。とはいえ、初心者としては、グレードの違いよりなにより、まずは無事に『飼える』ことを重視したいが、グレードのことも頭の隅において選ぶといいだろう。
代表的なタイプとしては、このようなものがある。濃い白の部分がほとんどの「SSタイプ」、白地に赤丸模様の「日の丸タイプ」、腹に紅白のしま部分がある「タイガータイプ」、赤丸に白線の模様がある「進入禁止タイプ」、濃くハッキリした紅白のしまの「太バンドタイプ」。