水槽の選択と飼育可能な数や水槽の選択
ていねいに立ち上げ、こまめに世話を続ければ、小型水槽でも飼育は可能だが、繁殖を目的として飼育するのであれば、ある程度の水量を確保できる水槽を使用した方がよいだろう。レッドピーは急激な水質の変化にとても弱く、水量が少ないと水質が大きく変化してしまいやすいからである。そして一度弱ってしまったレッドビーは、回復せず、そのまま死んでしまうことが多いのだ。そこで、初めてレッドピーを飼育するのであれば、60cmレギュラー水槽(幅60×奥行き30×高さ36cm)を選択することをおすすめしたい。このサイズの水槽は最も普及しているため、ライトなど水槽周辺の器具類が比較的安価で入手できる。水量も約55リットルほどあるので、水質の変化もそれほど激しくない。60cmレギュラー水槽でフィルター設備を整え、きちんと水を管理すれば、4~500匹程度を飼育することも可能である。
飼育のための水質
飼育に向いている水質とは?レッドビーに限らず、甲殻類は魚以上に水質に敏感だが、レッドピーシュリンプは広い範囲の水質で飼育・繁殖をすることができる。飼育水が酸性でうまくいく人もいれば、そうでない人もいる。アルカリ性でも同様のことが言えるので、どの水質がベストだと断言することはできない。成功するかどうかは、それ以外の要素も重要なのだ。しかし、繁殖に成功している人の水質の傾向としては、弱酸性の軟水が多いようです。
良好な水質の判断方法熱帯魚ショップではPH、アンモニア、亜硝酸塩、硝酸塩、KH(炭酸塩硬度)、GH(総硬度)、COD(化学的酸素要求量)、DO(溶存酸素量)などを簡単に測定することができる水質検査キットが売られている。これらを使えば水質をある程度把握でき、飼育に役立たせることができる。ただし、先に述べたようにアルカリ性で成功する人もいれば、酸性で成功する人もいる。またアンモニア、亜硝酸塩、硝酸塩に関しても、まったく検出されないで繁殖に成功する人もいれば、検出されても成功する人もいるので、数値にこだわりすぎることもない。もちろんアンモニア、亜硝酸塩、硝酸塩はまったく検出されないにこしたことはないのだが、亜硝酸が約10mg/リットルも検出された水槽でレッドピーが問題なく繁殖していたケースもある。それに、水質検査キットで調べられる物質以外にも、レッドピーにとって好ましくないものは多くあるのだ。そこで、検査キットで調べられる数値以外に、レッドピーのハサミの動きや餌への食いつき、水草の生長の仕方、生えるコケの種類や生え具合によっても水質の判断基準になる。たとえば状態の良いレッドピーは、ハサミを動かしてよく動き、ハサミを動かさないでジッとしたままの個体は弱っていることが多い。またウイローモスは、水の状態が良いとコケが付かずにきれいなエメラルドグリーンになり、かなりのスピードで生長するが、水の状態が悪いと茶色や黒く変色したり、流木や石などからはがれてしまうこともある。ただし、コケの生え具合で水質を判定する場合は、ライトの本数や種類、点灯時間、ライトの使用期間によって生えるコケの種類や量がかなり異なってくるので、慣れないと、判断が難しいでしょう。また、買ってきた水草にコケが付いていたりすると、水質がよくてもそのコケが増殖して広がってしまうこともある。そこで、以上のような目安を組み合わせることによって、適切な水質を判定するとよい。
底床の選択
器具を揃えるときに最も悩むものは、底床でしょうか。どのような底床がベストかは、飼育者の飼育スタイルによって変わってくる。ソイル系底床は多孔質であるため、底床内にバクテリアが繁殖しやすい。また、そのほとんどが水質を弱酸性の軟水にしてくれる効果もあり、水質を安定させる点に関しては他の底床よりも優れている。ソイルが水質を弱酸性にする効果は、半永久的に続くわけではないが、半年から1年程度はその効果が期待できると言われています。ソイルの種類の選択は、好みの粒の色、粒の大きさ、ブランドによって飼育者が選択すれば良いでしょう。一方、大磯砂のように粒の崩れない底床は、半永久的に使用することができる。掃除をこまめに行ないたい場合や、半永久的に使用可能な底床を選びたいと考えている場合は、これらを利用するとよい。
底砂の掃除ソイル系の底砂の場合は、掃除を行なう方もいらっしゃいますが、掃除をすることによりソイルの泥状部分を舞い散らし環境を悪化させる場合もありますので、しないほうが無難でしょう。ソイルの場合は定期的な底砂のリセットで充分だと考えられます。ソイル以外の底砂、大磯や川砂など、底砂を掃除できるものは定期的にしっかりと行なうことが望ましいです。見極めが難しい場合は、底床部分に向かい、手を仰ぐ動作をした場合、汚れが舞うようならば掃除の時期と考えても良いでしょう。掃除の方法は、専用のポンプを使って底砂の中まで飼育水で洗い流すといった感じになると思います。この時に大量の汚い飼育水が出てきますが、これを汚れの部分だけ取り除き戻すようなことは絶対にしないようにしてください。掃除によって生じた飼育水の減りは換水のように足してください。掃除の時に注意していただきたいことは、掃除に夢中になりすぎて飼育水をドンドン減らしてしまうことです。水槽内の水が極度に減り、その分を換水により足すことは、急激な水質の変化になりますので気をつけてください。それから繁殖が行なわれている水槽では、椎エビの吸い込みの危険性が生まれますので、椎エビの成長を見計らい、また椎エビのいる水槽で掃除を行なった場合は、吸い込んだ汚水を排水するとき、椎エビがいないか再度確認してから流すようにしてください。
照明
レッドピーのための照明レッドピーの飼育では、ウイローモスやミクロソリウムなどの水草が使用されることが多い。これらの水草は低光量でも十分に育ってくれるので、筆者は蛍光管を1灯たけしか使用していない。たとえ蛍光管を複数使って明るくしても、それによってレッドピーが飼育しやすくなったり、繁殖効率が著しく高まるということは特にないでしょう。照明の電源のON/OFFは、タイマーを使用した方がよい。手動だと点灯時間が不規則になることが多いからである。照明を毎日規則的に点灯させることは、とても重要である。どのような生物でも、規則正しい生活が健康につながるのです。
水温管理
レッドピーの適正水温低水温での飼育はおすすめできない。レッドピーは、水温が低いと動きが鈍り、餌をあまり食べなくなり、育ちが悪くなってしまうからである。また水草の生長も遅くなり、種類によっては枯れてしまうものもある。しかしレッドピーは、高水温にも弱い面がある。飼育は、水温26℃ほどが最適でしょう。
エアレーション
エアレーションの必要性水温が高くなると酸素が水へ溶けにくくなるため、夏場など水温が高い時期に26℃前後の水温を保てない場合は、エアレーションをした方がよい。でないと、レッドピーは酸欠を起こす可能性がある。水中内の溶存酸素量は、水温だけではなくCOD(化学的酸素要求量)とも密接な関係がある。CODは水が汚れるほど高くなるが、CODが高くなると、水中にある酸素が消費されてしまうので、結果的に溶存酸素が低くなってしまう。しかし、水換えをすればCODを下げることができるので、水温が26℃を超えた場合は、エアレーションと共にこまめな水換えを行なうようにしたい。
Q&A
Q.水槽内に石を入れていますが、調子が悪くなり、すべて死んでしまいました。何故でしょうか?
A・‥水槽に石を入れられたのは、レッドビーシュリンプを入れられる前でしょうか?それとも入れられた後でしょうか?レッドピーシュリンプが水槽の中にいる状態で、そこへ石をレイアウトされ、石を入れた以外、原因が見当たらない、見つからない場合は、石を水槽内に入れたことによる水質の変化が考えられますし、その石の出所がわからないようなものや、庭に落ちている石などには有害物質を含んでいる、または付着している場合も推測することができます。石にも水質を変化させるものと、させないものがあります。水質変化に敏感なレッドビーシュリンプにとっては、致命的な変化が起こる石もあることも充分に考えられます。石には、天然ミネラル分を含むような、水質浄化に役立つ良いものもありますし、有害物質を含むものもあります。石をレイアウトに使用する際はアクアリウム用のものを必ず使用することと、水槽立ち上げと同時に入れたい石をレイアウトし、水質の安定が図れた頃にレッドピーシュリンプの導入をされた方が安全ではないでしょうか。
Q.二酸化炭素ガスは添加しても大丈夫でしょうか?また、添加するとして、どのくらいの量なら安全に飼育できますか?
A・‥二酸化炭素ガスの添加は、同じ水草量であっても照明の強さにより添加量は変わってきます。一概に二酸化炭素の量はこれが適切である、ということは言えません(もちろん、使用する機材によっても変わってくると思いますので、使用する機材を購入したところなどで、水草の状態や照明時間、水槽のサイズなどを伝え、アドバイスして頂いた方が安全だと思われます)。二酸化炭素を添加することは、適切な量であれば、水草の活性が推測され、水草が良い状態であると、それを食べるレッドピーシュリンプの状態も良くなることがあります。孵化、一歩間違えると、二酸化炭素過剰添加の場合はPH変動が起こります。少しの変化であれば問題ないですが、二酸化炭素過剰添加によるPHの急激変動は生死にかかわることがあります。ですから、二酸化炭素導入時はPH変動に気をつけ、レッドピーシュリンプの状態もよく観察するようにしましょう。通常どおり、手足を動かして移動しているようであり、PHの変化もあまりないようであれば問題はありませんが、動きが鈍い場合は要注意です。水質にうるさいレッドピーシュリンプですので、急激な変動が起こらないように気をつけましょう。また、照明消灯後は、光合成は行なわれませんので、必ず二酸化炭素は止めるようにしてください。止めないとあくる朝、全滅ということもありますので気をつけるようにしてください。それから、酸欠になりやすい可能性が高いので、それまでエアレーションを使用していない場合も、エアレーションした方が安全だと思います。
Q.時々、水槽内をエビが一斉に泳ぎまくっていますが、どうしてですか?
A・‥実際には、解明はまだされていませんが、俗に言う「抱卵の舞」だと考えます。潮の満ち干きや、満月、雌が脱皮時にフェロモンの放出により刺激されるなど、いろいろな説がありますが、なぜそのような現象が起こるのかまだわかっていませんが、この行動が見られたあとは抱卵個体が増えていることから、「抱卵の舞」と呼ばれるようになったのだと思われます。PH下降、上昇剤のような添加剤や、レッドピーシュリンプにショックなことが起こることをしていなければ特別問題はないと思います。その後の抱卵個体の出現を楽しんでみてください。