金魚飼育の3原則
極意その1
金魚はゆったり少な目に飼いましょう!
さて、金魚の飼育を始めて少し上手く行き始めると、飼育槽の大きさを考えず矢も盾も溜まらず金魚を増やしたくなると思います。しかしそれが行き過ぎると容量に見合わない数になってしまう事になります。それは、結論から言うと失敗するケースにまっしぐらとなります。人間に例えれば、密閉状態の限られた広さの狭い個室に、何人も押し込められたのと同じ状態と言えば判り易いでしょう。それは不快と言うだけでは済まされない間違いなく命に関わる重大な危機です。限られた水槽に生活する金魚も数を入れ過ぎたときはまさにこれと同じ状況なのです。金魚も容器の中の限られた水に溶け込んだ酸素だけで呼吸して生きています。ですから飼育数が多すぎると酸欠で命取舵なるのです。ですから、快適に過ごさせてあげるには、なるべく少ない数で飼育してあげることが金魚飼育の大事なコツ!極意の一つなのです。
では、飼育可能な限度の目安を、一般的に最も普及している60cmガラスレギュラー水槽(W60×D30×H35cm)を例にして、ここで具体的、限度飼育可能数として明確に確認しておきましょう。例えば体長3cm位の金魚として、エアレーションが無の飼育ならば、行く行くの成長を加味すれば、9匹以下が育てられる限界の数になります。それを実際に見ると未だ魚が小さいので、空間が多く見た目寂しいと感じるでしょう。ですから、限界の飼育数が判っていないとそれ以上入れてしまい、失敗に繋がることが多いのです。また限界は9匹と示しましたが、限界の9匹目一杯に入れてしまえば、金魚は快適に過ごせるという事では有りません。何とか生きて行けると言う数字です。ですから、少し水温が高くなったり、水質が悪化すると酸素が不足して金魚は苦しくなって、水面に集まり口をパクパクさせます。この現象を鼻あげと言い、金魚の悲鳴、酸欠のアピールメッセージです。決して餌を欲しがっているわけではありませんので、間違ってもそんな時に餌をあげないで下さい。エアレーション無しの場合酸素供給源は水面からのみですから、酸素が足りないと鼻上げして酸素を取り入れようとするのです、だから飼育槽として水面の表面積が広い方が絶対に有利です。水深は溶け込む酸素量には殆ど寄与しない事を覚えておきましょう。
つまり限界数の飼育では酸欠の危険が常に伴うので気実際快適に過ごすには、かなりの余裕が必要で1匹あたり少なくとも10リットル出来れば15リットルの水量が望ましいのです。匹数で言えば、6~4匹が無理のない飼育数と考えて下さい。では、同じ大きさの水槽により多くの金魚を飼いたい時はどうすれば良いか、水槽のサイズが同じなら、表面積は同じで広がりませんから、同じ飼育方法なら水槽をより大きくするか、もう一つ水槽を増やすしか方法がありません。それには、場所が必要です。「現実にはそんなスペースの余裕はない」という場合が多いので悩むところですが、その問題を解決してくれるのがエアポンプによるエアレーションです。その威力は酸素量的に見れば同じ3cmのサイズの金魚ならエアレーション無しの状態と比べ物にならない、上限35匹が飼える計算になります。でも、それでは過密飼育、成長を阻害するのは明らかですし、半端な排泄量じゃありませんから、実際問題として水質の維持もままならなくなるのが明白です。エアレーションしても60センチ水槽なら10匹以下でその成長を楽しむべきでしょう。要するに飼育数が多いと酸素量の供給面および排泄が多く、水がすぐに汚れてしまうので、水換えのタイミングが少しでも遅れると手遅れになる危険が付いて廻るので、エアレーションの有無に関わらず、飼育数は少なめにするのが、金魚の飼育上の極意と心得て下さい。
極意その2
餌は控え目にあげましょう
金魚が健康に育つ為にはどういう餌をどれ位与えるか、餌のあげ方がとても重要なポイントとなります。その秘訣は、ズバリ消化の良い良質な餌を控えめにあげる事に他なりません。と言うのは、金魚には胃が無いからなのです。つまり腸だけで餌の消化吸収しなければならないというハンディキャップがある生き物だからなのでも人間でも胃を切除してしまうと、消化吸収が充分出来ませんから、少しでも食べ過ぎると調子を崩します。それと同じ事が全ての金魚に起こり得ると言えば納得して項けるでしょう。ですから、餌の与えすぎは要注意!金魚には消化器官に大きな負担がかかり体調を崩す危険と常に隣り合わせ、実に大事なポイントなのです。
そうは言っても、餌を欲しがって寄って来る金魚の仕種は理性を失うほどの可愛さなので、胃のない事を知らない飼育者はついつい、知らない内に沢山あげてしまう傾向がありますから、胃のない事をここで知ることができたからには、ほしがって面白い様に食べるからといって必要以上に餌を与えないで下さい。また多めにあげた餌は完全に食べきれずに水底に残った場合、それが水を汚すばかりか、やがて腐敗して水を悪くする理由の大きな原因となります。ポイントを要約すると、餌を多くあげすぎると消化不良を起こし易く、更に食べ残した餌の蓄積は水を汚し、その結果、病気を招くという、悪循環を生む元凶となるのです。従って、餌をあげる時は残さず無理なく食べられる量を少しずつその都度数回に分けてあげましょう。
また、餌をあげるのはできれば午前中、遅くとも午後3時までに終えるように心掛けましょう。それは生態的に金魚は日の出と共に目覚め日没と共に休むというサイクルが生活のリズムだからです。胃の無い金魚は消化に時間が掛かります。日没後、休む時間には消化器官の活動も弱くなりますから、遅い時間にあげると消化能力が追いつかず消化不良を起こし易いからです。室内飼育水槽の場合は灯りをつけているから良いだろうと思うでしょうが、そこは金魚の日々の営みは、太陽そして四季の気候、つまり水温変化にマッチングしているという本来の生態を考えてあげてください。標準的には水温が30℃半ばを超える時は葦簾等日除けが必要ですが、高水温域では食欲旺盛に、下がれば食は細ります。そのため冬場は、屋外飼育なら餌は全くいらない程です。ですから、季節(水温)に応じて餌の量はコントロールが必要でも特に晩秋以降~冬は思い切って餌を押さえた飼育をお勧めします。それを踏まえて、室内水槽飼育の給餌ポイントを示すと、真夏および冬の冷曖房のオンオフによる一日の昼と夜の温度差を極力抑える事が重要です。金魚は急激な温度差には弱いのです。冷暖房のセッティングと水槽の置き場所を工夫して1日の温度差が5℃以内になるよう心掛けて調整しましょう。まとめると、餌は午前中遅くとも3時までに切り上げ、夕方底に餌が残ったら必ずネットで掬ってしまう習慣をつけて下さい。そして、冬場はヒーターを15℃に設定しておけば翌春の産卵にも支障なく、寒暖の差が原因の体調不良も防げるという事です。そして餌は決まった時間に計量スプーンを使って餌をあげるといいですね。
極意その3
水道水に含まれる金魚に有害な塩素は抜いて。水質の悪化に注意しましょう。
金魚が生きていく上、絶対欠かせない一番大事な物それは何をおいても水にはかなりません。金魚の生命活動は、水中の酸素を自らの鰓で取り込み呼吸することで維持されています。ですから水の状態が金魚の健康をつかさどる最重要の課題です。昔から金魚つくりは水つくりと言われるのもその為です。例えば見た目は透き通って新しい水に見えても、有害物質が溶け込んでいたり、酸素が不十分な水では金魚は生きていけません。具体的に言えば有害物質とは、まず水道水の塩素、酸素の不十分な水は井戸水を指します。解決方法としては、金魚に有害な塩素を抜くには、水道水は1~2日汲み置いて天日に曝すか、ハイポやビタミンCなどの塩素中和剤で除去が可能です。井戸水なら不純物が必要以上に入っていたり、酸素が溶け込んでいない場合も多いので、先ず水質検査を保健所などに頼んで金魚が飼える水かどうか確認して下さい。また井戸水には塩素は入っていませんが、酸素が欠乏している場合が多いので、金魚を入れる前に数時間~1日エアレーションをすれば酸素欠乏は解消されます。水質検査でマンガンなど不純物が多い場合は金魚飼育にはそのまま使わないに越したことはありません。この金魚の棲める飼育水の条件が判っていないと、うまく金魚は飼えません。ここからがスタートラインです。さて、安全な水が確保出来ても、いざ金魚を入れ、飼育を開始すれば、毎日の給餌と伴う排泄、藻、コケ、アオコの発生等で悪化が進みますから飼育水は時間が経つに連れ汚れが進みます。従って状況に応じて手遅れにならないタイミングで水替えが必要なります。
では、その水の悪化を判断する判り易い幾つかの信号があるので、それを紹介しましょう。
1.エアレーションの泡がサッと消えないで長い間残る。
2.透明感のない白っぽい濁りが出ている。
3.金魚が餌を欲しがるでもなく盛んに水面でバクバク鼻上げをしている。
4.金魚が水面近くの水槽の壁面付近に揃って集まり、ボーっと力なく漂っている。
5.水が、急激に白く濁った。(餌の残りや排泄物で有害なバクテリア、アンモニア発生の信号です。)
以上5項目が注意信号、直ぐに水替えが必要なサインです。
これらの信号は、毎日注意して金魚の動き、体表の異変等を観察・チェックをしないと、見逃してしまいますのでしっかり見てあげましょう。そして、この5項目の現象が見られた時は、迷わず即、水替えをして下さい。翌日に延ばしてはいけません。また、体表に炎症が出たり、いつもより元気が無い様な時も危険信号です。水質悪化が進んでいる事が考えられます。その場合も、直ちに水替えを行い、元気のない(病気)金魚は別の水槽に隔離して薬浴を行いつつ様子を見ながら、元気が出るまで数日間餌を抜いて治療してあげる事をお勧めします。その時隔離しない金魚の水は念の為0.5%の食塩水にしてあげると新たな病気発生を防ぐ上で効果がある事も付け加えておきます。しばらく飼育して行けば、自分の管理する水槽の状況が判るので、危険信号が出る前での早め早めの水替えをしてあげることが出来る様になるでしょう。そこまで行けばその後は大丈夫ですね。