オランダ獅子頭型
このオランダ獅子頭型は、和金型と琉金型の中間形体型です。伸長した幅広の尾で、泳ぎも和金型の次に活発で琉金型より力強い涼力の持ち主。大型になり頭に肉壇の発達する品種も多いタイプですが、その威厳と重厚な雰囲気のなかにも、十分な可愛さを漂わせています。大型なので、なるべく広い飼育槽でゆったり飼ってあげるとよいでしょう。
オランダシシガシラ
作出国 | 色・柄 | 鱗構成 | 尾型 | 入手 | 飼育 |
中国(日本) | 素赤・更紗・澄黄・白 | 普通鱗性 | 大振りの三ツ尾 四ツ尾・サクラ尾 |
容易 | 普通 |
琉金の変異種として出現したものを選抜改良し固定しました。当初は上から見て楽しむ金魚で、ランチュウのように厚みがある箱形体型、長めのボディ、頭部の発達した肉瘤、構えのよい幅広でしなやかな尾が特徴ですが、水槽飼育普及にともない今は丸手も好まれます。迫力ある大型金魚で、豪快に泳ぐ様は見事です。色は紅白更紗、素赤、白、黒等。江戸時代に作出され、命名は鎖国時代に高級とされたオランダものにちなみます。中国より沖縄経由で長崎に渡来しました。
A.肉瘤が発達するのがオランダ獅子頭です。ただし、個体によってはあまり大きくならないこともあります。日本オランダは、丸手のタイプに比べて比較的頭が小さいようです。ちなみに獅子頭の「獅子」はライオンの別称でもありますが、こちらは伝説上の獅子のこと。獅子舞や狛犬がこの獅子です。そういわれれば似ているような気がします。
Q.鹿の子ってどんな柄のことをいうのですか?
A.赤と白の更紗模様のうち赤い鱗の一枚一枚に白い緑が付いた鱗をもつ柄のことで、鹿の子更紗といいます。赤い鱗がタイルのモザイク模様のように分布したものを鹿の子ということがありますが、そちらは小豆更紗と呼びます。
Q.ジャンボ獅子頭とはどんな金魚?
体型はオランダ獅子頭は、ほとんと変わりませんが、体長40センチにも育つ大型の種で、金魚産地のひとつ、熊本県長洲で、大正時代に誕生しました。いまではほとんど見られなくなましたが、同じく大型タイプに「ジャンボオランダ獅子頭」という種類があります。こちらは和全との交配種で、食用のため大型化されたといわれています。和金に似て尾びれが短く、鑑賞性には劣っていたようです。大きなサイズと優美なひれを両立させた現在のジャンボ獅子頭は、大きなオランダ獅子頭同士の交配によってつくられたともいわれていますが、40センチものサイズに育つことを考えると、ジャンボオランダ獅子頭の血を引いている可能性も捨てきれません。
東錦
作出国 | 色・柄 | 鱗構成 | 尾型 | 入手 | 飼育 |
日本 | キャリコ | モザイク透明鱗性 | 大振りの三ツ尾 四ツ尾・サクラ尾 |
普通 (長手タイプは難) |
普通 |
東錦は昭和18年、横浜の金魚商、加藤金蔵氏により作出されたオランダ獅子頭と三色出目金の交雑種です。オランダ獅子頭の迫力ある体型は残し、三色出目金の美しい雑色性モザイク透明鱗をのせた濃い浅葱のベースに、鮮やかな赤と墨色が映える金魚です。その粋な姿と土地柄にちなんで東京の金魚商、高橋鉄次郎氏が命名しました。英名はストレートにキャリコオランダと呼びますが、東錦という粋な合名は、日本人の金魚を深く慈しむ気持ちが感じ取れます。
A.色の違いです。体型はオランダ獅子頭と同様で、肉瘤が発達する点も同じです。このキャリコ柄は、キャリコ出目金と交配させることでつくられました。
Q.関東東錦ってなに?
A.東錦のオリジナル体型である、体長が長めの種類を指します。本あずまと呼ばれることもありますが、現在はあまり見られなくなってしまい残念です。色と柄の両立が容易でなく長手をしっかりつくり込むのが難しいのがその要因でしょう。近年は、東綿と浜錦を交配させた長手のものを「関東あずま」と呼ぶケースもありますが、血統としては、本来の東錦と異なる種類としたほうが適切でしょう。
ジャンボオランダ
オランダ獅子頭と和金の交雑種で、金魚のなかでは桁外れの大型種。環境が整っていれば2尺(約60cm)を超えるといわれています。超ロングボディに豊かな肉瘤がのり、いくぷん短尾なところに和金の血が現れています。大正時代、熊本県長洲町で、近隣の福岡県柳川町の特産種であるオランダ獅子頭をベースに和金を交雑し作出したようです。オリジナルは黄金種とされていますが、鑑賞性の向上を求め、より赤く、更紗模様、キャリコ柄も検討されています。
丹頂
作出国 | 色・柄 | 鱗構成 | 尾型 | 入手 | 飼育 |
中国(日本) | 赤白 | 普通鱗性 | 大振りの三ツ尾 四ツ尾・サクラ尾 |
容易 | 普通 |
この金魚の特徴は、真っ赤なベレー帽をかぶったような肉瘤と、それ以外は全身純白を超えたプラチナホワイトの衣装をまとったような配色を持つことです。体型は丸手で、オランダそのものといってよい優雅で立派な姿です。それが肉瘤の紅とプラチナホワイトのボディのコントラストを一層際立たせています。丹頂鶴を彷彿させるこの配色から、日本では丹頂と命名されました。中国では単に紅頭、英名では見た通りにレッドキャップオランダと呼ばれています。
A.体にも白点が出ていれば、白点病の可能性がありますが、肉瘤に出ている少し大きめの点であれば、金魚の二キビのようなもの。手でこすれば落ちますし、放っておいても問題ありません。丹頂以外の肉瘤にも出ることがあります。
Q.頭の色が悪くなってきた。
A.丹頂の頭部だけに限らず、金魚の赤色全般は、日光に当たらないと色あせることがあります。色変わりに関しては遺伝的な要素も大きく、ストレスが原因の場合もあります。色あせの場合には、色揚げ用などとして売られているアスクキサンチン色素を含む餌を与える、ときどき日光浴をさせるなどすると回復してきます。
青文魚
作出国 | 色・柄 | 鱗構成 | 尾型 | 入手 | 飼育 |
中国(日本) | 藍青 | 普通鱗性 | 大振りの三ツ尾 四ツ尾・サクラ尾 |
普通(国内産は難) | 普通 |
本来、このように青みがかった体色の金魚は少ないのですが、その少数派の代表格がこの青文魚です。全身青みが濃い個体の妖艶さと渋さが魅力ですが、退色して白とのツートンカラーを楽しめるタイプもあります。それを羽衣と呼び、完全に退色する個体を白鳳(パイフォン)といいます。命名の由来は、この独特の青い色の文魚(中国では、背ビレのある三つ尾、四つ尾の金魚の上兄を文の字に見立てる)とされています。頭に肉瘤が発達するタイプもあり、人気のある品種です。
A.基本的には、青いオランダ獅子頭と考えてよいでしょう。肉瘤が大きくならないタイプもあるため、肉瘤が大きく発達した種類を「高頭青文」と区別して呼ぶことがあります。
Q.青文魚の青色も浅葱色も、「青色」と呼びますが、どこが違うのですか?
A.青文魚は青色の普通鱗、キャリコの浅葱色は、透明鱗に下層の黒色が透けて薄い青色に見えているもの、という違いがあります。
Q.お腹のあたりが白くなってしまいました。
A.金魚の黒の色素には、遺伝的に退色性をもつものがあり、成長とともに色が抜けていきます。
茶金
作出国 | 色・柄 | 鱗構成 | 尾型 | 入手 | 飼育 |
中国(日本) | 茶 | 普通鱗性 | 大振りの三ツ尾 四ツ尾・サクラ尾 |
やや難(国内産は難) | 普通 |
茶金には、丸手の琉金型に近いタイプ、それよりも長手のオランダ体型のタイプが存在しますが、ここではオランダ獅子頭型として紹介します。特徴は、渋く派手さをおさえた深い茶褐色の体色です。長手タイプの方が頭が上がりやすい傾向にありますが、どちらのタイプも落ち着いた魅力を醸し出しています。命名は色にちなんでいますが、英名ではチョコレートオランダ、中国では紫魚といいます。
高頭パールスケール
作出国 | 色・柄 | 鱗構成 | 尾型 | 入手 | 飼育 |
中国(日本) | 素赤・更紗(白) | パール鱗性 | 大振りの三ツ尾 四ツ尾・サクラ尾 |
やや難 | 普通 |
高頭パールの品種説明としてよく「肉瘤の発達するパールスケール」と表現されます。しかし、パール鱗による表現を各体色や出目形質などと同様に、あくまで付属的な表現のひとつとして捉えますと「オランダにパール鱗の表現を加えたもの」と解釈した方が、金魚の品種を考える上では理解しやすいのではないでしょうか。その昔、一時的ではあったが高頭パールは「オランダパール」と呼ばれることもあったようですが、この呼び名が普及することはありませんでした。高頭とはシシガシラのことで、高頭パール以外には青文魚でも高頭という表現が使われることがあります。特に国産化された浜錦で顕著なように、頭頂にこの丸い水泡状の肉瘤が発達したものが良い個体とされ、その二つが大きく、明瞭に分かれていて、大きさが均等であるものを最良のものとしています。白勝ちの更紗模様の個体もその肉瘤が揃っているものは見応えがあります。