その他の種類
目立つ特徴、複合的要素を持った金魚たち。
水泡眼
昭和30年代に日本に渡来しました。珍しい形質を追求する中国ならではの様相ですが、その後、バランスを好む日本的趣向に傾倒し現在の形に。日本種は背ビレのあるものはありません。目の左右の特徴ある袋は眼球の角膜が肥大した中にリンパ液が満たされた袋です。泳ぐのに合わせて、たわわに揺れる姿はほのぼのとしていて思わず笑みを誘われます。膜が薄いので取り扱いには細心の注意が必要です。破けても元に戻りますが、バランスが悪くなる事も多いのです。
作出国 | 色・柄 | 鱗構成 | 尾型 | 入手 | 飼育 |
中国(日本) | 赤・更紗(白) | 普通鱗性 モザイク普通鱗性 |
小振りの三ツ尾 四ツ尾・サクラ尾 |
容易 |
普通 |
A.水泡が破れてしまうことがありますが命に影響はありません。元どおりとはいきませんが戻ります。傷口から雑菌が入り炎症を起こす場合もあるので、水を悪くしないように注意して回復を見守ります。心配ならしばらくの間、塩水浴をしてあげましょう。
Q.餌を食べるのが下手です。目は見えているの?
A.目は見えていますが、目玉の位置が上向きのため、見える範囲が和全などと異なります。上方は広い範囲で見えていると考えられるので、浮上性の餌のほうが食べやすいでしょう。ただし、時間をかければ底のほうの餌も食べられるので、あまり気にしなくてもよいかもしれません。
玉さば
作出国 | 色・柄 | 鱗構成 | 尾型 | 入手 | 飼育 |
日本 | 更紗 | 普通鱗性・透明鱗性 | フナ尾 | 難 | 普通 |
この金魚は新潟県で育まれ、新潟を代表する金魚です。琉金のボディに発達したフナ尾を持つ、異色の形態をしています。寒い環境で生まれ育ったので、耐寒性が強く丈夫。鮮やかな赤が白地に映える姿はとても印象的。琉金型ボディですが、泳ぎも活発俊敏で驚かされます。ピンと伸びた発達した白い各ヒレのためです。同じく耐寒性が強いことで知られる山形金魚は、この玉さばと和全の交配種といわれますが、こちらも丈夫で飼育しやすいという特徴を持っています。
A.諸説ありますが、庄内金魚と琉金が玉サバのルーツであるという説が有力で、流金の血を引いていることが考えられます。琉全からもフナ尾の個体、通称「吹き流し琉金」が生まれますが、切れ込みが少ない柔らかな尾をした吹き流し琉金とコメットにも似た強く長い吹き流し尾の玉サバは、当然ながら違う金魚です。
Q.玉サバの「サバ」ってなんですか?
A.玉サバのルーツとされる「サバ尾」のサバは、長いフナ尾のことを指しているようです。海の魚のサバの尾に似ているからとか、誕生の地名を冠しているなど、諸説ありますが本当のところは不明です。
頂天眼
作出国 | 色・柄 | 鱗構成 | 尾型 | 入手 | 飼育 |
中国(日本) | 橙黄・更紗 | 普通鱗性 | 小振りの三ツ尾 四ツ尾・サクラ尾 |
やや難 | 普通 |
従来、赤出目金の突然変異種とされていますが、マルコの変異とも考えられます。松井佳一博士の実験により、赤出目金の変異でも出現が確認されているのは事実で断定は出来ませんが、マルコ変異とした方が自然と思われます。左右に開き真上を向いたその日は何ともとぼけてはいますが、愛橋もたっぷり。逸話として、この形質作出にあたり、先端がすぼまった瓶で何世代も飼育したという話もあります。
A.赤出目金の変異種ということがわかっていますが、眼の位置も大きく異なれば、背びれもなくなり、体はずいぶん細くなっています。残念ながら、その経緯は詳しくわかっていません。清朝時代の中国では、盛んに飼われていたようです。ちなみに、ふ化したばかりの稚魚の日は出ておらず、生後1カ月頃から横に出てきて、その後徐々に上向きになっていきます。
Q.目は見えているの?
A.目の位置を考えれば、視界はほかの金魚とは、ずいぶん異なると考えられます。しかし、底に落ちた餌も、時間をかければちゃんと食べられるので、前も見えているようです。
蝶尾
作出国 | 色・柄 | 鱗構成 | 尾型 | 入手 | 飼育 |
中国(日本) | 素赤・更紗 黒白・茶 |
普通鱗性 透明鱗性 |
平付け蝶型四ツ尾 | 普通 | 普通 |
蝶尾は、1980年代に流通が始まったパンダ金魚が初物と思われ、色目、尾のタイプのバリエーションが豊富です。出目系ですが、目の突出は若干控え目。最大の特徴は、四つ尾で上から見るとあたかもアゲハ蝶のように豪華な尾ビレの形状です。当初は中国産のみでしたが、人気種のため現在は国産も多く出回り、タイプも赤・白・青文・茶等々、色とりどり揃っています。尾の構造上泳ぎが苦手なので、土佐金に準じて水流を抑えた飼育がお勧めです。
A.大きく違うのは尾の型です。蝶尾の名が示すように、大きく広がった蝶のような尾で、根元で体に水平に付いた平付け尾です。平付け尾は、左右に振って水を切ることができないため、金魚にとっては泳ぎにくい尾型です。美しい尾に傷やしわが入らないようにするためにも、水槽にはあまり水流をつくらないように気をつけてください。
Q.同じような尾をもつ品種は、ほかにもいますか?
A.蝶尾と四つ尾の地金からつくられた「東海錦」がいますが型は違います。また、琉金などにみられる「ブロードテール」や「メイプルテール」も、まったく同型ではありませんが、似た型をしています。
浜錦
体型としてはオランダ型の高頭パールと水泡眼の交配種です。交配により出現した形のよい頭部水泡を持つ個体を選抜交配し、5年目に出現した突然変異の舌頭水泡パールをさらに10年かけて固定した品種です。始まりは浜松の清水徹二氏が中国から初めて持ち帰った高頭パールで、それを元に愛知県蒲郡の渡辺茂夫氏が手がけました。特徴は普通鱗性と頭部に盛り上がった2つに割れた肉厚の癌です。作出期間は昭和35~52年で、命名は清水氏ゆかりの浜松にちなみます。