カメカメの繁殖

カメの繁殖にチャレンジ

カメが成長しておとなになると、繁殖に挑戦したい!という人もいるでしょう。カメが繁殖するのは健康に育っている証拠。子ガメを増やすための基本を紹介。

野生のカメたちの繁殖行動を知っておく

繁殖が可能な年齢に成長したカメは、オスがメスに求愛行動して交尾します。オスよりメスのほうが大きい水棲ガメなどで見られるのは、独自の求愛行動。アカミミガメはオスがメスの前で爪を振る行動をとります。逆にオス、メスの大きさが同じ種頬では、求愛行動はあまりありません。こうした種類はオスが攻撃的でメスを傷つけたり、オス同士が闘って傷つくこともあります。繁殖期は気候などに左右され、乾季・雨季のある生息地では、季節の変わり目に活発になるのが一般的。温帯のカメは初夏に繁殖行動が活発になります。オスの精子は生存期間が長く、メスは交尾後に何年も受精卵を生み続けることが可能。また、複数の個体と交尾するので、1年の間に違うオスの卵を産むのが一般的です。産卵期のカメは、産卵場所をさがして歩きまわります。ですので、水辺や山あいの道路でカメの交通事故がふえます。この時期、車はカメに気をつけてください。

繁殖をめざすならそれぞれのカメに合った自然のエサを日ごろからあたえなくてはなりません。庭での放し飼いなら、勝手にミミズを探して食べたり、自然の雑草を食べたりすることでその面は解決しているのですが、部屋飼いではそうはいかないので、飼い主が野山で採取してきてあげなくてはなりません。また、日光浴のかわりとなる紫外線を得るためのハ虫類用ライトなどでは、紫外線の要求度が高い力メたちには、こと繁殖に関してはあまり良い結果は出ていません。

オスとメスの見分け方

オスとメスの見分け方

カメの雌雄は、ある程度成熟してくれば、比較的簡単に見分けられます。1番簡単な見分け方法は、尾の違い。オスは尾の中にペニスが入っているため、付け根が太くて長く、総排泄孔の位置が甲羅の外側についています。逆に、メスは尾が短く、総排泄孔はオスと比べると甲羅の内側にあります。尾の他には、完全陸棲種では、上から見たとき、オスはメスと比べてスリムな体型をしている種類が多いのが特徴です。 また、半水棲種のミシシッピアカミミガメやクサガメなどは、オスに比べてメスのほうが大きく成長します。さらに、ミシシッピアカミミガメの仲間では、オスは爪が長く、メスの前でその爪をふるわせて求愛することが知られています。オスが黒い色になったり(クサガメ)、頭の大きさが違う(オオアタマガメ)、頭の色が違う(ジャノメイシガメ)など、種類によってさまざまな特徴があります。しかし、いずれの場合も、子ガメのときは区別がつきにくいことがほとんどです。

ベアを作る

カメの繁殖を成功させるには、いくつかのポイントがありますが、一番大切なのはペアをうまく作れるかどうかです。本格的に繁殖をする場合は、複数のカメを飼育し、相性のよいペアを作ります。たくさんのカメを飼育できないときは、オスとメスを購入して一緒に飼育をしていれば、自然とペアになることが多いようです。ペアができたら、しっかり管理して、産卵できる体力をつけさせましょう。輸入直後でヤセている個体や、十分に体力がついていないカメを産卵させると、卵詰まりなどの異常を起こすことがあります。入荷直後などで体力がない場合は、体力がつくまではオスとメスを別々に飼育したほうが無難でしょう。

半水棲種・水棲種の繁殖

飼育環境の準備

産卵

半水棲種や水棲種のカメの場合、まず、繁殖に適した飼育環境を整えることが重要。ポイントは次の2つ。ひとつは、水場の広さ。このグループのカメは水中で交尾を行うため、交尾がしやすいように広めの水場スペースを用意しましょう。水深は甲羅の高さの3~4倍以上は必要です。ふたつめは、陸場の広さ。交尾は水中で行いますが、メスは産卵時に陸に上がり、穴を握って卵を産みます。産卵する陸場は広めに確保すること。 また、陸場と水場が混ざらないように、完全に仕切るようにするとよいでしょう。
交尾が終わり、産卵が近づいたメスは、陸上部分にいることが多くなり、土に穴を掘るなどの行動を見せるようになります。気に入った場所が見つかるとメスは後ろ足で穴を掘って卵を産み落とし、土をかぶせて卵を隠します。交尾から産卵までの時期は、種類によっても異なりますが、およそ1~4か月と言われます。

ふ化容器の管理

ふ化容器

産卵を確認したら、なるべく24時間以内に卵を慎重に掘り出し、あらかじめ用意したふ化容器に移動します。屋外飼育で庭に産卵した場合は、そのままでもふ化しますが、ふ化容器に移動した方が、ふ化率は高まると言われています。このとき注意してほしいのは、卵の上下です。産卵されたときと同じ上下の向きを守り、回転させないこと。カメの卵は、卵黄の上部に胚が形成される仕組みです。卵の上下を動かしてしまうと胚が卵黄に圧迫されるため、奇形や発育不良の原因になったり、中にはふ化せずに死んでしまうこともあります。これを予防するため、卵を移動するときは、動かす前にあらかじめ卵の上になっている部分に鉛筆や油性マジックで印をつけておくことが良いでしょう。そして、上下が逆にならないように注意しながらそっと掘り出し、容器に入れます。ふ化容器の床材には、あらかじめくぼみをつけて、卵がころがらないようにしておきます。卵を入れた容器は、乾燥を防ぐためにフタをしますが、湿りすぎは禁物。卵は呼吸しているので、フタには数か所、小さな穴を開けておきます。温度管理も重要です。温度は26~30℃に保ちましよう。順調にいけば2か月半ほどでふ化がはじまります。

ふ化後の世話

ふ化

ふ化したとき、卵の中での栄養(卵黄)をためていた袋をつけていることがある。「へその緒」のようなもので、「卵黄のう」という。歩きにくそうなのではがしたくなるが、はがすと傷になる。1日もたてば、体内に吸収されるので、そのままにしておく。ふ化が始まっても、あわてて子ガメを別の容器に移す必要はありません。ふ化した子ガメを見つけたら、小型の飼育容器(ふ化容器と同じ床材を入れておく)へ移動。子ガメを入れた容器は、ふ化容器と同様に26~30℃を保ち、乾燥しないように管理します。ふ化直後は甲羅がやわらかいので、強い力で持つと甲羅がゆがむことがあります。取り扱いは慎重に。ふ化から10日ほどたって卵黄が吸収されると、ヘソがふさがり、甲羅も硬くなってきます。そうしたら、水を浅く入れた飼育容器に子ガメを移動。通常の子ガメの飼育に切り替えます。

陸棲種・完全陸棲種の繁殖

飼育環境の準備

陸棲種や完全陸棲種は、繁殖期になるとオスがメスを追いかけるようになります。このような状況を確認したら交尾は間近なので、産卵場所の準備をしましょう。半水棲種と比べると深い穴を掘る種類が多いので、広くて深めの場所を用意するのがポイントです。屋外の庭などで飼育している場合は、そのままで良いでしょう。とくに産卵床を準備する必要はありませんが、庭の土が硬すぎる場合は、庭の一部を一度30cmほどの深さに耕してから、表面を軽く叩いて固めておきましよう。
ベランダや室内で産卵させる場合は、大きめのコンテナボックスやプラ舟などに土を入れた産卵床を作ります。ただし、このような場所で産卵させられるのはギリシャリクガメやヘルマンリクガメ、ヨツユビリクガメなど小型の種類に限ります。ケヅメリクガメやヒョウモンガメなど大型になる種類を繁殖させるときは、庭や専用の飼育小屋など、広い環境が必要です。産卵が近づいたメスは、穴を掘る行動を見せるようになり、気に入った場所が見つかると産卵して、土をかぶせます。交尾から産卵までの時期は、半水棲種や水棲種と同じく、およそ1~4か月です。

ふ化容器の管理

産卵を確認したら、24時間以内に卵を掘り出し、ふ化容器に移動。移動の際に卵に印をつけ、上下を変えないようにすることは半水棲などと同様。ふ化容器の床材は、陸棲種は湿らせた水ゴケなどを入れます。乾燥した地域に棲息する完全陸棲種は卵が濡れるのを嫌うため、ふ化容器には砂などを敷き詰め、その上にくぼみをつけて卵を並べます。この際、卵を濡らすのは禁物ですが、逆に乾燥しすぎると、ふ化する際に卵膜が子ガメの体にはりつき、ふ化がうまくいかないことがあります。湿度は、夏場はそのままで良いですが、それ以外の時期は70~90%を保つように管理。温度は種類によっても異なりますが、28~30℃を保つとよいでしょう。温度や湿度の管理が難しいときは、ふ卵器を使用する方法もあります。ふ化までの日数は、およそ2~4か月。

ふ化後の世話

ふ化したばかりの子ガメは、ふ化容器と同じ環境の小型容器に移しましょう。温度や湿度の管理もふ化容器と同様です。その環境で1週間ほど管理。ふ化したばかりの子ガメは、数日間はエサを食べません。ふ化して3~4日後から、細かく刻んだり、すりおろした野菜と、飲み水用の水入れを入れましよう。ふ化後1週間ほどでエサを食べるようになるので、そうなったら、子ガメと同じ飼育環境で世話をしましょう。

繁殖のポイント

・自然のエサや栄養価の高いエサを親亀にふんだんにあたえる。
・自然の太陽光で日光浴させる。
・季節によって寒暖の差がある地域にすんでいるカメは、悪い時期は他の季節より飼育温度を下げる。
・日ごろからオスとメスは別々に飼っておく。
・日ごろからよく観察しておき、交尾を確認したら、卵を産んだと思われるときは土中を調べ、もし、卵を発見したら土中より取り上げ、フ卵器で管理する。
・鳥と違ってカメなどのハ虫類は卵の中で自由に動くことができないので、発見した卵の上に「●」などの印をつけておき、卵の上下は決めておく。

pagetop