カメの歴史と進化
カメは古くから人との関わりが強い動物です。昔話に出てきたり、めでたい場面では鶴と一緒に登場。魅力いっぱいのカメについて歴史や特徴を紹介しましょう。
カメの歴史
カメが地球上に姿を現したのは、約2億2000万年前の恐竜の時代です。その頃のカメは、今のカメにある甲羅はなく、口には歯がありました。現在のような甲羅を持つようになったのは、それからさらに約1000万年後と言われます。その後、恐竜は環境の変化についていけず、約6500万年前に絶滅しました。しかし、カメは姿を大きく変えることなく、現在まで生き残っています。それは、カメが甲羅を手に入れたことも関係しているのかもしれません。
カメの特徴
トカゲやヘビのなかには、直接、子どもを産む種類もいますが、カメはすべての種類が卵を産んで子孫をふやします。産卵のしかたや時期は、同じ種類であっても自然環境などによって異なることがあります。 また、カメはハ虫類の仲間なので、ヘビやトカゲ(有鱗目という共通の仲間)、ワニと共通する特徴も備えています。体の表面がウロコでおおわれて陸上に生息するカメたちは、体をウロコでおおうことで水分の発散を防いでいます。そのため、砂漠や草原地帯から森林帯までと、様々な環境で生活することができるのです。水中で生活するカメのなかにはウロコのない種類もいますが、池や沼、川、河口域、海洋にまで生活の場を広げています。そして気温などの影響で体温が変化する変温動物であることや、肺呼吸することも他のハ虫類と共通しています。
カメの種類は約300種
カメの種類は、諸説ありますが、一般的には約300種が知られています。カメは学術的には、動物界脊椎動物門ハ虫類綱カメ目の動物です。そこから潜頸亜目と曲頸亜目のふたつのグループに分かれ、さらに上科、科、亜科、属があり、最終的には種に分けられます。また、地域による違いなどにより、亜種に分かれているカメもいます。潜頸亜目と曲頸亜目、どちらのグループに入るかは、首を引っこませてみれば一目瞭然です。
曲頸種(きょくけいしゅ)
曲頸類に属し、現在も生息しているのは、ヨコクビガメ科とヘビクビガメ科の合わせて約70種いますが、どれもよく似たカメの仲間です。約2億年から1億4千万年前のジュラ紀には世界中に分布していましたが、現在は、南半球のみで確認されています。どちらも水生傾向が強く、長い首をシュノーケルのように水上に出して呼吸し、湖沼や河川、その近辺に生息しています。指の間の水かきが発達しています。ヨコクビガメ科は、南米、アフリカなどに、ヘビクビガメ科は、南米、オーストラリアなどにすんでいます。
潜頸種(せんけいしゅ)
潜頸種は、いろいろな環境に合わせて進化したカメたちで、そのすむ地域は森林から海洋までの広範囲にわたっています。ジュラ紀の終わりごろから徐々に分布地域を広げ、現在では世界各地で見ることができます。
現生種は10科で、カミツキガメ、ウミガメ、スッポン、リクガメなどに分類されます。ここではそれぞれの特徴を紹介しましょう。カミツキガメの仲間は、頭が大きくて甲羅の中に引っこめることができないのが特徴です。カミツキガメ科とオオアタマガメ科に分類されています。ウミガメの仲間は、水中での生活に適したヒレ状の前脚、後ろ脚が特徴で、水族館などでよく見る甲羅がはっきリしているウミガメ科と、甲羅がはっきリしないオサガメ科に分けられています。
リクガメの仲間は、その姿が最も多く確認されているミドリガメやゼ二ガメが属するヌマガメ科と、ホシガメなどのリクガメ科に分かれています。リウガメ科は、その名のとおり陸にいるカメなので、陸上生活に適した丸くて太いじょうぶな脚を持っています。
スッポンの仲間には、スッポン科、ドロガメ科、カウガメ科、スッポンモドキ科の4科がいます。脚の水かきが発達していたり、ヒレ状になっていたりと、それぞれ水中での生活に適した四肢を持っています。また上記の分類のほかに陸上で生活する陸生種、淡水や海水など水中に生きる水生種、陸上と水中の両方を行き来する半水生種の3種類に分けることもできます。
カメの体の仕組み
●首
長く伸びたり引っこめたりする首は、力メの特徴の1つです。カメの首はその収め方により、2つの種類に分けられます。ひとつは、長い首を横に曲げたり、折りたたんで甲羅に収める"曲頸類"(きょくけいるい)。もう1つは、ミドリガメやリクガメのように首をまっすぐ甲羅に引っこめる"潜頸類"(せんけいるい)です。水生のカメのなかには、獲物を飲みこむために首と頭が大きくなりすぎて甲羅に収まらないワニガメやオオアタマガメなどの種類もいます。
●くちばし
くちばしは皮膚が変化したもので、歯のないカメが歯のかわりに食物をかみ切ります。くちばしの形は、それぞれが好むエサの種類によって異なります。肉類を好むワニガメなどは薄く鋭いくちばしですが、植物を食べるリクガメ類は分厚いくちばしになっています。これは食物の繊維を切ったり、つぶしたりするためです。
●甲羅
カメといえば、すぐあのかたい甲羅を思い浮かべる人がほとんどでしょう。甲羅はいくつかの甲板に分けられますが、それぞれ背中(背甲)とおなか(腹甲)についています。甲羅は皮膚が変化してできたもので、その表面は透明な角質板でおおわれています。しかし、ほとんどを水中で生活するようになったスッポンなどのカメには、角質板がなくなってしまっています。
●四肢・爪
いかにも重そうな体をささえる脚(四肢)は、ウロコにおおわれています。基本的に前脚の指は5本、後ろ脚の指は4本です。脚の形でどこにすむカメかが分かります。指の問に小さな水かきがついているカメは、陸上と水中の両方に適している半陸生種です。一方、陸にすむカメは、分厚い皮膚と短い脚の指を備えています。海ガメや、海ガメのように水中を飛ぶように泳ぐスッポンモドキというカメは、まるでボートのオールのような前脚になっています。爪は、エサを押さえつけたり、斜面を上ったり、穴を掘るときなどに使用。指の数は前足5本、後ろ足4本が基本ですが、種類によって異なります。
●尾・総排泄孔
カメの尾は、メスよりオスのほうが長く太くなります。尾の付け根の部分には総排泄孔と呼ばれる部分があり、そこから排泄。陸棲種は陸上で排泄することが多いですが、水棲種は主に水中で排泄します。そのため、飼育水が汚れやすいので、こまめな水替えが必要です。